曼荼羅アートとは、仏教などの儀式で使われていた曼荼羅(manda la マンダラ)を、自己表現やマインドフルネスの目的で描かれたアートのことです。
絵の具やパステル、色鉛筆など様々な画材で描かれています。
こんにちは、曼荼羅アーティストの大迫弘美です。
私は主にペンを使って曼荼羅アートを描いています。
ペンで描く曼荼羅アートは、紙とボールペンさえあれば誰でも始められる、とてもシンプルな表現方法です。
でも、いざ描いてみると「線が曲がってしまう」「模様が崩れて左右対称にならない」「途中で何を描けばいいか分からなくなる」と悩む方がとても多いのも事実です。
この記事では、ボールペンを使った失敗しない描き方の手順と、初心者の方がつまずきやすいポイントを一つずつ整理してご紹介します。
道具選びから下絵の作り方、模様の広げ方、よくある失敗の直し方まで、順を追って読んでいただければ、今日からご自宅で迷わず一枚を描き上げられるようになります。
さらに、曼荼羅を描く時間がなぜ心を整えてくれるのかという視点も交えながらお伝えしていきますので、絵を描くのが苦手な方にもきっと肩の力を抜いて楽しんでいただけるはずです。
曼荼羅アートとは?描くことで得られる心の変化
曼荼羅とは、もともと仏教やヒンドゥー教の世界観を図像で表した神聖な模様のことを指します。
円や正方形を基本に、幾何学的な模様が中心から外側へと広がっていく構造を持っているのが特徴です。
現在では宗教的な意味合いだけでなく、誰でも気軽に楽しめるアートやセラピーの手法として親しまれています。
中心から模様を描き足していく作業は単純な繰り返しですが、この繰り返しに没頭する時間そのものが、気持ちを落ち着けるきっかけになると私は感じています。
普段、ペンは文字を書くために使うものです。
そのペンで、線、点、丸といった単純な図形を繰り返し描いていく。
考えてみれば、これは日常ではあまりしない行為です。
文字のように意味を伝えるためではなく、一見すると意味のない図形を描いているからこそ、目の前の線や点、丸に意識を向け、「今」という時間に集中することができるのです。
描くことに集中できるので、脳内の雑音が静まり、自分の本心(本質)に気づく。
心がスッキリするだけではなく、自分の才能を認めて新たにお店を始めたり、子供の頃の夢を思い出し新たな学びを始めたりする生徒さんもいらっしゃいます。

ボールペンで曼荼羅を描くために揃えたい道具・材料
曼荼羅アートを始めるにあたって、特別な画材を揃える必要はありません。
紙とボールペンがあれば、今日からでも描き始めることができます。
とはいえ、道具の選び方ひとつで描きやすさや仕上がりの美しさは大きく変わってきます。
ここでは、失敗を防ぐために押さえておきたい道具のポイントを整理します。
曼荼羅アート用ボールペンの選び方
曼荼羅アートには、ミリペンやゲルインクのボールペンなど、細い線を安定して描けるものが向いています。
私は、線の太さがぶれにくく、長時間描いてもインクが途切れにくいボールペンを選ぶことをおすすめしています。
特に、黒画用紙など濃い色の紙に描く場合には注意が必要です。
ペンの中には、濃い色の紙にはあまり発色しないものもあります。
選ぶときには、公式サイトで、「濃い色にも描ける」という記述があるかをチェックしましょう。
講座では、おすすめのペン一覧を渡しています。
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紙・下敷き・コンパスなど周辺道具
紙は、インクの裏抜けが少なく、ある程度厚みのあるものを選ぶと安心です。
下絵の段階では、コンパスや円形の型を使うと、中心が安定しやすくなります。
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失敗しない曼荼羅アートの基本手順
道具が揃ったら、いよいよ描き始めていきます。
曼荼羅アートは、いきなり模様を描き始めるのではなく、順序を守ることで格段に失敗しにくくなります。
ここでは、中心の決め方から仕上げまでの流れを、初心者の方にも迷わないよう順を追ってご説明します。
中心を決めて下絵を作る
まず紙の中央に十字線を引き、そこを基準にコンパスや型で円を描きます。
円の大きさが決まったら、内側にいくつかの同心円(中心が同じで半径の長さが異なる円)を書き、模様を配置する土台を作ります。
円を分ける補助線は、円を24分割(15度)で区切ると、初めての方にも描きやすい下絵になります。
この下絵の段階を丁寧に行うことが、後の模様がゆがまないための最大のポイントです。

点描・線描でパターンを描いていく

下絵ができたら、中心に近い部分から外側へ向かって、点や線でパターンを描いていきます。
同じ模様を繰り返す場合は、一周ごとに数を数えながら描くと、模様の間隔が均等になりやすくなります。
一気に最後まで描き切ろうとせず、一つの円を描き終えるごとに少し離れた場所から全体を眺めることをおすすめします。
全体のバランスを確認しながら仕上げる
模様を描き進めたら、最後に全体を見渡し、余白の使い方や模様の密度に偏りがないかを確認します。
気になる部分があれば、無理に消そうとせず、周囲の模様で自然に馴染ませる方法もあります。
仕上げに輪郭を少し濃くしたり、余白に小さな点を足したりすると、全体がぐっと引き締まった印象になります。
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曼荼羅アート初心者がつまずきやすい失敗と対策
曼荼羅アートは自由度が高い分、描き進めるうちに「思っていたのと違う」と感じてしまう方が少なくありません。
ここでは、初心者の方によくある失敗のパターンと、その対策をまとめます。
あらかじめ知っておくことで、実際に描くときの不安がかなり軽くなります。
線がゆがむ・左右非対称になる
曼荼羅アートでよくある失敗の一つが、模様の左右や上下でバランスが崩れてしまうことです。
補助線を薄く引いてから模様を描くだけで、この失敗はかなり防ぐことができます。
とはいえ、同心円や補助線があっても左右対称に書くのは難しいものです。
そういう場合は、型紙を作って、それを利用して下絵を書きましょう。
模様が単調になる・途中で崩れる
同じ模様を延々と繰り返しているうちに、集中力が切れて模様が崩れてしまうことがあります。
これは技術の問題というより、休憩を取らずに描き続けてしまうことが原因であるケースがほとんどです。
一つの円を描き終えるごとに一呼吸置き、少し離れて全体を眺める習慣をつけることで、崩れに気づきやすくなります。

インクがにじむ・点描が乱れる
ボールペンの先に力が入りすぎると、インクがにじんだり点が跳ねたりすることがあります。
ペン先に強い力がかかると、インクの出が悪くなったりペン先が壊れたりします。
点を描くときにカツカツ(コツコツ)と音がなっているときは力が入りすぎているので、気に留めてみましょう。
また筆圧が強いと、スムーズに線を描くことができません。
ボールペンはペン先のボールの回転を感じられるくらい軽く持ちましょう。
描きやすい角度に紙を回しながら描くと、さらにスムーズに線を描くことができます。
うまく描くための実践のコツ5選
基本の手順と失敗パターンを押さえたところで、ここからは曼荼羅アートをより美しく仕上げるための実践的なコツをご紹介します。
いずれも特別な技術ではなく、意識の向け方を少し変えるだけで実践できるものばかりです。
道具や画材を変える必要もありませんので、今描いている曼荼羅アートに、今日からそのまま取り入れていただけます。
1. 描き始める前に全体の完成イメージをおおまかに決めておく
模様を思いつきで足していくと、途中でバランスを崩しやすくなるため、大まかな配置だけでも先に考えておくと安心です。
たとえば「大きめの丸をメインにしよう」「今回は点描をたくさん描こう」といったふうに、ざっくりとした方向性だけ決めておくだけでも、手を動かしながら迷う場面がぐっと減っていきます。
何色で描くかも、描き始める前に決めておくと迷いなく進められます。
ワントーンで描く、虹色配色(赤・オレンジ・黄・緑・青・紫)で描こうなど、色数を絞っておくと統一感が出しやすいです。
「描きながら色を選ぶ」というやり方は、慣れないうちは手が止まる原因になりやすいので、決めた色のペンだけ机の上に出しておくことをおすすめしています。
2. 小さな紙で模様のパターンを練習しておく
いきなり本番の紙に描くのではなく、小さな紙で模様のパターンを練習しておくことです。
同じ模様を何度か練習しておくと、本番では手が自然に動くようになります。
頭で考えながら描くのではなく、手が覚えている感覚で描けるようになると、線にも余計な力みがなくなり、仕上がりが驚くほど落ち着いたものになります。
練習用の紙は、コピー用紙の切れ端やメモ帳のようなもので十分です。
「本番用ではないから」と気楽に描けることも、練習のよいところだと感じています。

3. 描きながら全体を確認すること
模様を描いている途中で、定期的に紙を少し離して全体を確認することです。
近くで見ているときには気づきにくいゆがみも、少し離れると見つけやすくなります。
特に集中して描いているときほど、視野が狭くなり、ペン先にだけ意識が向いてしまいがちです。
一度手を止めて、紙を少し遠ざけて眺めてみる。
それだけで、「あ、ここが少し寄っているな」「もう少し余白があってもいいかも」といったことに、ふっと気づけるようになります。
次に進む前に、必ず一度、全体を見渡す時間を作ってみてください。
4. 模様のパターンを記録しておく
気に入った模様が描けたときに、それを記録しておきましょう。
また、途中まで描いたけど完成できなかった未完の作品も取っておくことをおすすめしています。
それらは全部サンプルになるからです。
スマートフォンで写真を撮っておくだけでも構いません。
パターンを集めておくと、次に描くときの引き出しが増え、模様のバリエーションに悩みにくくなります。
これは、描くたびに一から模様を考える必要がなくなる、という実用的な意味もありますが、それ以上に「自分はこういう模様が好きなんだ」ということが少しずつ見えてくる、という嬉しい発見にもつながっていきます。
ご自身だけのサンプル帳のようなものが育っていく感覚を、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。
5. 完璧を目指しすぎない
曼荼羅アートは、多少のゆがみやくずれも模様の一部として馴染んでいくことが多く、細部にこだわりすぎるよりも、描く時間そのものを楽しむ姿勢が、結果として仕上がりの美しさにもつながっていきます。
「きれいに描かなければ」という気持ちが強くなりすぎると、手が緊張してしまい、かえって線がぎこちなくなってしまうこともあります。
多少のゆがみは、曼荼羅アートという世界の中では、その人らしさとして自然に溶け込んでいくものです。
うまく描けたかどうかよりも、描いている間、心がどれだけ落ち着いていられたか。
そちらに意識を向けてみることも、上達の道のひとつだと感じています。

また、続きの模様が浮かばない理由の一つに、パターンの詰め込み過ぎるというのがあります。
特に始めたばかりだと、あれもこれもと描きたくなるものです。
「まだ余白があるから、もう一つ模様を足したい」「せっかくだから、いろいろな模様を試してみたい」という気持ちは、とても自然なことだと思います。
けれど、そもそも曼荼羅は、1つのパターンの繰り返しで構成されていることが多くあります。ひ
とつの模様を丁寧に繰り返していくことそのものが、曼荼羅アートの美しさであり、心を整えていく時間でもあります。
曼荼羅アートを描くときには、パターンをひとつか二つに絞って、そこから展開していくと描きやすくなります。
「これで単調にならないだろうか」と不安になるかもしれませんが、実際に描いてみると、同じ模様でも大きさや向き、間隔を変えるだけで、十分に豊かな表情が生まれていきます。

曼荼羅アートを描くことで得られる癒しと変化
曼荼羅アートは、上手に描くこと自体が目的ではありません。
中心から模様を繰り返し描いていく作業に集中していると、頭の中の雑念が少しずつ静まっていくような感覚を得られることがあります。
これは、模様を描くという単純な動作に意識を向け続けることで、日常の忙しさから一時的に離れられるためだと考えられます。
私は、曼荼羅アートを「上達すること」よりも「自分と向き合う時間を持つこと」を大切にしてお伝えしています。
「上手に描きたい」という気持ちには、知らず知らずのうちに、誰かと自分を比べている部分もあるのかもしれません。
でも、曼荼羅アートを描いていると、同じ見本を見ながら描いても、同じ作品にはならないことに気づきます。
ワークショップで初めて描く方たちが、同じ紙、同じペンを使い、同じ見本を見ながら描いても、完成した作品は一人ひとり違ったものになったことがありました。
筆圧やペンを持つ角度、点と点の間隔など、ほんの小さな違いが重なって、それぞれの個性になっていくのです。
初めてでも、自分の手で一つの作品を完成させることができる。
そして、同じ見本から生まれたそれぞれの作品を見比べると、「どれが上手」「どれが下手」ではなく、それぞれに違った魅力があることに気づきます。
お互いの違いを認め合いながら、自分の作品も楽しむ。
これも、曼荼羅アートの楽しさの一つだと私は感じています。

曼荼羅アートの描き方をプロから学ぶという選択肢
ここまで、ボールペンを使った曼荼羅アートの基本の描き方と失敗を防ぐコツをお伝えしてきました。
独学でも十分に楽しめる一方で、「自己流ではどうしても模様が単調になってしまう」「もっと細かい点描のコツを知りたい」と感じる方もいらっしゃると思います。
私自身、2018年から曼荼羅アートの講座を開催しており、これまでに200名以上の方に描き方をお伝えしてきました。
近年では、すでに独学で描いている方や、プロとして活動されている方が、さらに描き方を深めるために受講されるケースも増えています。
基礎からじっくり学べる講座に加えて、点描のグラデーションだけを集中して練習できる講座や、より複雑な模様に挑戦する講座もご用意しています。
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よくある質問(FAQ)
Q. 曼荼羅アートは絵が苦手でも描けますか?
A. 曼荼羅アートは、同じ模様を繰り返し描いていく形式のため、絵の得意・不得意はそれほど影響しません。
コンパスなどで補助線を引きながら描けば、初めての方でも一定の形に仕上げやすくなっています。
Q. 曼荼羅アートに向いているボールペンはどれですか?
A. 線の太さが安定していて、インクがかすれにくいボールペンが向いています。
具体的な種類については、本文中の「曼荼羅アート用ボールペンの選び方」でご紹介した内容を参考にしてください。
Q. 曼荼羅アートを描く時間の目安はどれくらいですか?
A. 模様の大きさや複雑さによって異なりますが、初心者の方が小さめの作品を仕上げる場合、数十分から数時間程度が一般的な目安です。
一度で仕上げようとせず、数日に分けて描き進めても問題ありません。
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